ジョン・ゴールトって誰?

投稿者: | 2016年5月31日

アメリカの実業家から絶大な指示を得ている肩をすくめるアトラスという本を読みました。
文庫3冊に渡る長編小説。1957年に書かれた古い小説です。
私がこの本を知ったのは↓のキャメロン・ヘロルドさんという方のスピーチを日本語訳した記事を読んだ時でした。

キャメロン・ヘロルド 「子供を起業家に育てよう」
https://www.ted.com/talks/cameron_herold_let_s_raise_kids_to_be_entrepreneurs/transcript?language=ja

この記事の内容にものすごく共感したこともあって、起業家がヒーローとして描かれている唯一の本であると言われている肩をすくめるアトラスが気になっていました。
全3部(3冊)という長編小説ということもあり、あまり長い小説を読んだことが無い私は全部読み切れるかどうか不安で随分悩みましたが、
「古典小説はいつまで経っても色褪せないだろうし、いつかは読むだろう。」
という結論に思い至り、購入することにしました。

そして、なんとか無事に全部読み切ることが出来ました。
以下、なるべくネタバレしないようにしますが、少しネタバレを含む感想です。

ストーリーはおもしろいんだけど、言い回しがクドい。何を説明するにも無駄に冗長で、慣れるまで読むのが大変でした。
これはもしかしたら日本語訳されてるから余計にひどくなっているのかもしれない。
そんな状態でも楽しんで読めたので、無理な日本語に訳された和訳本ではなく、原本の方は相当おもしろいんじゃないかと思います。
英語わからないから原本読めないのが悔しい。将来、英語がわかるようになったら原本も読んでみたいな。

終盤、「こちらジョン・ゴールト」でラジオを通しての演説が90ページも続いた時はさすがに挫折しそうになった。
ひとりのセリフが90ページも続く。しかも言ってることは結局同じことなのに、言い回しを変えて何度も何度も同じことを言い続ける。
ここまではなんとか小説の体を保っていたのに、突然難しい哲学書になった感じでした。
作中ではこの演説は3時間となっていたので、90ページ続くのも仕方ないのかもしれないです。
道徳的な考え方として、この本が伝えたいことはこの90ページに全て詰まっているように思いました。

簡単に内容を説明すると、アメリカで稼ぐことに長けた実業家達が、何の努力もせずに実業家からお金だけ得ようとするたかり屋にうんざり。
やってられんわ!となった実業家達はひとり、またひとりと姿を消していく。
寄生先を失くしたたかり屋は、次々に新しい寄生先を見つけては吸い尽くして潰して行く。
最終的に寄生先を失くした政治家や民衆はアメリカを崩壊させる。というお話。

この本で正義とされている考え方には本当に衝撃を受けて、これこそ私が求めていた道徳規範だと感じました。
ただ、多くの日本人にはあまり受け入れられないでしょう。
残念なことに、日本人はお金を稼ぐことを悪いことだと考え、お金持ちを悪と見る考えが一般的ですから…。
サラリーマン気質な人がほとんどですしね。
逆に、日本人でも実業家な方々に取っては素晴らしい本になるでしょう。必読と言ってもいいぐらい。

私はお金持ちでもなんでも無いので、たかられることはありませんが、
自分では何も行動しないくせに、権利だけ主張する厚かましいたかり屋にはならないように気をつけようと思いました。
できれば、子供にも読んでもらいたいな。でも高校生ぐらいになるまで無理だろうな。

肩をすくめるアトラス 第一部

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*